着終わった着物をクリーニングに出す時、久しぶりに着ようと思った着物が汚れていてクリーニングに出す時など、「クリーニングにかかる時間はどれくらいなんだろう」と思うことはありませんか?
特に予定に合わせてクリーニングに出す場合には、予想外に時間がかかり間に合わなかったらどうしよう…と不安になりますよね。
そこで今回の記事では、着物クリーニングにかかる日数について解説したいと思います。
着物クリーニングは洗い方によって日数が大きく変わるため注意が必要です。
「丸洗い」のみの場合は1ヶ月程度が一般的ですが、「しみ抜き」が必要になると3ヶ月近くかかることもあります。
どうしてそれほど長い日数がかかるのかをご説明しながら、着物クリーニングの時間について詳しく解説していきます。
着物クリーニングは洋服クリーニングのように数日で仕上がることはありませんので、きちんとかかる日数を理解してから利用したいですね。
着物のクリーニングにかかる期間はどれくらい?何日かかる?
着物に限らずクリーニングに出す時には、何日かかるのか確認しておくことが大事です。
予想以上にクリーニングにかかる時間が長く、着る予定の日に間に合わなかったら困りますよね。
着物は結婚式や成人式など大切なイベントで着ることが多いので、特に注意が必要です。
すぐにまた着る予定がない場合でも「クリーニングに出してからしばらく経つのにまだ戻ってこない…」と心配にならないように、目安を知っておきたいですね。
着物クリーニングは洋服より時間がかかる?
洋服クリーニングの場合は、1週間程度かかることが一般的ですよね。
自社工場でクリーニングしているお店の場合は、当日仕上げに対応している場合もあります。
着物は洋服よりもデリケートな素材なので、やはりもっと時間がかかるでしょう。
具体的にどれくらい長くかかるのか把握しておきたいですね
着物クリーニングは洗い方によって日数が違う?
また着物は、洋服のようにドライクリーニングするだけでなく、「丸洗い」「しみ抜き」という洗い方があります。
この洗い方の違いにより、かかる日数はどれくらい変わるのでしょうか。
かかる時間の違いがわかれば、「しみ抜きに時間がかかりすぎる場合は丸洗いだけにする」などと使いわけることもできますね。
着物クリーニングはシーズンによって日数が違う?
着物に限らず、クリーニングにかかる時間はシーズンによって大きく変わります。
コートなどのアウターを3月頃に出すと、いつもの倍以上の日数がかかることがありませんか?
着物の場合も時間がかかるシーズンはあるのでしょうか。
もしあるなら把握しておきたいですよね。
「いつもの感覚でクリーニングに出したら、全然戻ってこない…」という失敗は避けたいですね。
このように、着物クリーニングの期間の疑問は「洋服より長いのか」「丸洗い、しみ抜きによってどれくらい変わるのか」「シーズンによって違うのか」ということでしょう。
次の章からは、この3つの疑問に答えながら、着物クリーニング期間について詳しく解説していきたいと思います。
着物クリーニング期間を解説!丸洗いは1ヶ月、しみ抜きは2~3ヶ月が目安
着物クリーニングは何日かかるものなのでしょうか。
まずは「洋服より長いのか」「丸洗い、しみ抜きの日数はどれくらい違うのか」の2点を考えていきたいと思います。
着物クリーニングは洋服よりも時間がかかる!長期間かかる5つの理由
着物クリーニングは、やはり洋服よりも時間がかかります。
洋服の場合はワイシャツやスーツなら1~2日ほど。コートなどでも1週間程度ですが、着物クリーニングは1~3ヶ月程度かかります。
1~3ヶ月と大きく差がある理由は、後述しますが、しみ抜き作業が必要になるとかなり時間がかかるケースがあるからです。
丸洗いだけなら約1ヶ月、しみ抜きは約2~3ヶ月が目安になります。
いずれにしても、洋服に比べると非常に時間がかかりますね。
どうして着物クリーニングはこれほど時間がかかるのでしょうか。
理由がわからないと「何でこんなに時間がかかるの!」とイライラして待つことになるかもしれませんね。
理由がわかれば、「こんなに時間がかかっても仕方ない」と納得できるでしょう。
①検品に時間がかかるから
着物は洋服に比べてデリケートな生地となっています。
最近はポリエステル素材の着物も増えていますが、フォーマルな着物は正絹のものが多いでしょう。
振袖などの場合は、刺繍や絞りが施されていたり、金箔や銀箔が貼ってある場合もあります。
着物クリーニングでは、このようなデリケートな生地に合わせて、洗い方や洗剤を変える必要があります。
そのためには、入念な検品が重要です。
間違った洗い方をしてしまうと生地が縮んたり、のびたりしてしまいます。
高価な着物の生地を傷めるわけにはいかないので、慎重に生地の状態を見極める必要があります。
この検品作業にとても時間がかかるのです。
検品をして見積りを出すまでに1週間程度かかることが一般的ですが、繊細な生地の着物や汚れがひどい着物の場合は、見積りが出るまでに1ヶ月程度かかることもあります。
②手作業の工程が多いから
洋服クリーニングの場合は機械で行う工程が多いため、短時間で仕上げることができます。
しかし着物の場合は手作業の工程が多いため時間がかかってしまうのです。
前述したように、まずは検品を行います。
検品作業はもちろん手作業です。1着ずつすみずみまでチェックしていきます。
次は汚れがひどい部分を下洗いします。これも手作業になりますね。
その後の丸洗いは機械が行うことが多いですが、最後の仕上げはまた手作業で行うことになります。
このように手作業で行う工程が多いので、一気に機械で洗う洋服クリーニングとはかかる時間が違うのです。
さらに着物は繊細で高額な生地が多いので、丁寧に慎重に時間をかけて行うため、作業時間がかかります。
③しみ抜きに時間がかかるから
下の章でご説明しますが、着物クリーニングでは、特定の汚れを取るために「しみ抜き」作業が行われることが多いです。
このしみ抜き作業にはとても時間がかかります。
しみ抜きが必要になる場合は、着物クリーニングの期間はぐんと長くなるでしょう。
④他社工場に委託する場合もあるから
洋服とはちがいデリケートな着物をクリーニングする場合には、専用の洗濯機や機械、さらに知識を技術を持つ職人さんが必要になります。
自社工場では着物クリーニングを行える環境ではないために、下請け工場などの他社工場に着物クリーニングだけ依頼してるケースも少なくありません。
その場合は、さらにクリーニングにかかる時間が長くなってしまうでしょう。
⑤宅配クリーニングだと配送時間がかかるから
着物クリーニングは1~3ヶ月かかるとお伝えしましたが、これは宅配クリーニングの場合の日数になります。
着物をクリーニングに出す場合は、着物を専門に扱うクリーニング店である必要があります。
一般のクリーニング店で対応してくれることもありますが、しみ抜きなどの特殊クリーニングに対応していなかったり、全て機械で洗うなどのケースが見受けられるためオススメしません。
ただし、着物クリーンニングの店舗はあまり多くないため、最近は全国対応の宅配型の着物クリーニングが主流となりつつあります。
宅配クリーニングの場合は、「宅配キットを取り寄せる→宅配キットが届いてから発送する→クリーニングする→自宅に送られてくる」という流れが一般的です。
着物クリーニングの時間に加えて配送時間もかかるため、手元に戻ってくるのが遅くなってしまうのです。
このように着物クリーニングは、「検品」「手作業」が必要になることが、時間がかかる主な理由になります。
丁寧に対応してくれるから時間がかかるということですね。
また、しみ抜き作業でさらに時間がかかること、他社工場に委託する場合や、宅配クリーニングで配送時間が必要になることも要因と言えるでしょう。
このような理由がわかっていると、仕上がりに時間がかかってもイライラすることがないですね。
着物クリーニングは洗い方によって日数が違う!丸洗いは1ヶ月、しみ抜きは2~3ヶ月程度
ここまで、着物クリーニングは基本的に洋服より時間がかかること、さらにその理由をお伝えしてきました。
次は、「着物クリーニングは洗い方によって日数が違う?」という疑問について考えていきましょう。
上の章でお伝えしたように、着物クリーニングにかかる日数を考える時には「丸洗いか」「しみ抜きか」を考える必要があります。
丸洗いの場合は約1ヶ月、しみ抜きの場合は2~3ヶ月が一般的になります。
この2つの洗い方にかかる時間について解説していきましょう。
丸洗いにかかる時間は1ヶ月が目安
着物クリーニングの料金表を見ると「丸洗い」と書いてあると思います。
クリーニング店で着物を洗う場合は、この「丸洗い」が基本の洗い方になります。
丸洗いとは、石油系溶剤を使ったドライクリーニングのようなものです。
正絹など着物の生地は水に弱いため、水洗いをすると縮んでしまいます。
そのため水を使わないドライクリーニングを行う必要があるのです。
コートなどデリケート素材の洋服をドライクリーニングするのと同じ感じですね。
何度か着る着物の場合は、コートなどのようにシーズンが終わったらクリーニングで丸洗いするサイクルが一般的です。
振袖など1度しか着ない着物の場合は、着用後にクリーニングで丸洗いしてから保管することになるでしょう。
着物クリーニングではこの丸洗いが基本のコースになりますが、これだけでも約1ヶ月の時間を要します。
店舗型のクリーニング店の場合は出してから2~3週間で受け取れることもありますが、宅配型のクリーニング店の場合は早くても3週間、通常は1ヶ月が目安です。
上の章でお伝えしたように、ただ機械で洗うだけでなく、検品、下洗い、仕上げなどの作業を手作業で行うため時間がかかります。
洋服クリーニングの感覚で出してしまうと、予定までに戻ってこない…という恐れがありますので気を付けたいですね。
しみ抜きにかかる時間は2~3ヶ月が目安
丸洗いにかかる時間でも長い着物クリーニングですが、しみ抜きの場合はさらに日数を要します。
丸洗い+しみ抜きの場合は2~3ヶ月もの日数がかかることが一般的です。
着物クリーニングの基本コースは丸洗いになりますが、丸洗いでは落とせない汚れもあります。
- ジュース、ワイン、コーヒー、お茶のシミ
- 醤油、ソースのシミ
- ボールペンなどインクのシミ
- 汗ジミ
- 血液汚れ
- 水ジミ
- 泥ハネ
- カビ
丸洗いはファンデーションや口紅などの油溶性の汚れを落とすのは得意ですが、このような水溶性の汚れや汗、血液、カビなどの汚れを落とすことはできません。
丸洗いで落とせない汚れは、さらに「しみ抜き」作業を行い、入念に汚れを落とす必要があります。
しみ抜きの有無は、2つのケースがあります。
1つ目は、お客さんのほうで「このシミを落としてください」としみ抜きを依頼するケースです。
2つ目は、検品をした職人さんから「このシミは丸洗いでは落とせないのでしみ抜きが必要です」と見積りを提示されるケースです。
いずれにしても、同じように日数はかかります。
「シミを取るだけなのに、どうして丸洗いよりも1~2ヶ月も長くかかるの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
しみ抜きに時間かかる理由は大きく3つあります
理由①しみ取り方法を見極める必要があるから
前述したように、一口にシミと言っても、さまざまな種類があります。
そのようなシミをきれいに落とすためには、そのシミにあった薬品、洗い方などを見極めることが重要になります。
着物の生地はとてもデリケートですので、間違った方法でしみ抜きを行うと、きれいにならないだけでなく、生地を傷めてしまう恐れもあります。
そのため、入念に見極める必要があるため、時間をかけてじっくり行うことになるのです。
もちろん簡単なシミであればそれほど時間がかからない場合もありますが、刺繍の上にあるシミや、時間が経ったシミなど、難易度が高いシミの場合は時間がかかるでしょう。
理由②丁寧にしみ抜き作業をするから
さらに、しみ抜き作業にも時間がかかります。
デリケートな着物の生地を傷めないように作業する必要があるので、ササっと短時間で行うわけにはいきません。
広範囲に及んでいるシミの場合はかなりの時間がかかるでしょう。
小さなシミでも時間が経ち黄ばみとなったシミの場合は時間がかかます。
このような厄介なシミを丁寧に落としていく場合も多いため、3ヶ月も時間がかかることがあるのです。
状態によっては、さらに長い日数を要する場合もあります。
理由③刺繍などの上にあるシミはさらに時間がかかるから
また、しみ抜きをする上で厄介なのが、刺繍や絞りなどが施してある部分にある場合です。
その場合は、生地を傷めないような工夫をしながらしみ抜き作業を行うため、さらに時間がかかります。
刺繍や金箔などが施してある振袖のしみ抜きを依頼する時には、かなり時間がかかると思ったほうが良いでしょう。
このように「しみ抜き」を行う場合は、とにかく時間がかかることがおわかりいただけたと思います。
1枚1枚の着物に要する時間がとても長いため、何枚も「しみ抜き」待ちの着物があると、2~3ヵ月かかることになるのです。
着物クリーニングの繁忙期にかかる日数を解説!2~3倍かかることもあるので注意が必要
ここまで、着物クリーニングに関する「洋服クリーニングより長いのか」「丸洗い、しみ抜きによってどれくらい変わるのか」という問題について考えてきました。
着物クリーニングは丸洗いでけでも1ヶ月、しみ抜きも必要になると2~3ヶ月もかかることをお伝えしてきました。
しかし、これは標準的な時期の日数です。
ここからは「シーズンによって違うのか」についてご説明したいと思います。
洋服クリーニングの繁忙期は、冬物のコートを出す人が多い3~5月頃です。
この時期にクリーニングを利用するといつもの何倍も時間がかかることがありますよね。
着物クリーニングの場合も同様に繁忙期があります。
その繁忙期にクリーニングを依頼すると、2~3倍の時間がかかってしまうこともあるため注意が必要です。
着物クリーニングの繁忙期は以下のように、大きく4つあります。
繁忙期①成人式の時期
着物クリーニングの一番の繁忙期と言えるのが1月の成人式の後です。
成人式で振袖を着た人が一気にクリーニングを利用するため、この時期に合わせてクリーニングを利用すると、通常の3倍ほどの日数がかかることも少なくありません。
繁忙期②卒業式、入学式シーズン
3月、4月の卒業式、入学式(卒園式、入園式)シーズンも着物クリーニングの繁忙期です。
着物を着て子供の卒業式、入学式、卒園式、入園式に出席する方が、着た後にクリーニング出す時期になります。
式に参加する前に古い着物をクリーニングに出す方もいるため、3月と4月は繁忙期が続く傾向にあります。
繁忙期③年末年始
年末年始も着物クリーニングの需要が高まる時期です。
まず初詣に着物を着る人が多いため、着る前や着た後にクリーニングに出す人が増えます。
また、年末の大掃除の時にタンスにしまっていた着物を整理する人も多いでしょう。
汚れていた着物があった場合には、このタイミングでクリーニングに出してお手入れするという人も一定数いるためクリーニングが混む傾向にあります。
繁忙期④衣替えの時期(6月、10頃)
6月と10月の衣替えの時期も着物クリーニングの繁忙期になります。
5月末になると袷の着物はシーズンオフになるため、クリーニングに出す人が増えます。
単衣の着物の場合は、10月頃がシーズンオフになるので、その頃がクリーニングのタイミングになるでしょう。
着物クリーニングにかかる時間まとめ
ここまで、着物クリーニングにかかる時間について解説してきました。
まとめると以下になります。
- 着物クリーニングは洋服より時間がかかる
- その理由は「検品に時間がかかる」「手作業が多い」「しみ抜きに時間がかかる」「他工場に委託する場合は時間がかかる」「宅配型は配送時間がかかる」
- 丸洗いにかかる時間は1ヶ月が目安
- しみ抜きにかかる時間は2~3ヶ月と長い
- その理由は「作業方法を見極める必要がある」「丁寧な作業をする」「刺繍などの上にあるシミはさらに時間がかかる」
- 繁忙期はさらに2~3倍かかることもある
- 繁忙期は「成人式」「年末年始」「卒業式・入学式シーズン」「衣替えの時期」
着物クリーニングはこのように、時間がかかるものなので、余裕をもって依頼することが大事ですね。
このような内容を把握しておくと、「着たい時に間に合わない…」という失敗を避けられるでしょう。
「どうしてこんなに時間がかかるの?」というストレスもなくなりますね。
しかし、もっと早く仕上げてほしい!という方のために「スピード仕上げ」オプションを設けている着物クリーニングもあります。
その場合は10日間程度で仕上げてもらえることもありますよ。
こちらの記事「急ぎで依頼する方法!早い・最短着物クリーニングとは」では、最短で着物クリーニングを利用する方法を解説しておりますので、ぜひご覧ください。
着物クリーニングにかかる期間には注意が必要!日数の目安を知り余裕をもって利用しよう
今回は着物クリーニングって何日かかるの?という疑問について考えてきました。
着物クリーニングは洋服クリーニングよりも大幅に日数がかかります。
さらに丸洗いとしみ抜きでも大きく期間が異なるので注意が必要です。
丸洗いだけでも1ヶ月、しみ抜きが必要になると2~3ヶ月が目安になります。
また繁忙期になるとさらに2~3倍の日数がかかることもあります。
着たい時に間に合わない…という失敗がないように、このようなクリーニングにかかる時間を考慮して依頼するようにしてくださいね。