普段着物を着る習慣がない方の場合、着物をクリーニングに持って行くのはちょっと面倒ですよね。
着物をクリーニングに出さなきゃと思っていても、出し方がわからないので億劫になってしまいます。
「着物をクリーニングに持ち込む時には何か特別な出し方がある?」「デリケートな着物はどうやって持って行けばいい?」などの疑問がある方は多いのではないでしょうか。
そこで今回は着物をクリーニング店に出す方法を解説したいと思います。
着物をクリーニングに出す前にやっておくべきこと、持ち込み時に気を付けるべきことなどをお伝えしていきます。
これらのポイントがわかっていれば、着物の扱いに慣れていない方でもスムーズに着物クリーニングを利用できるでしょう。
着物クリーニングは出し方、持って行き方はわかりにくい
着物を着た後にはきれいにお手入れしてからしまいたいですよね。
洗濯機で洗うわけにはいかないので、クリーニング店に持ち込むことになるでしょう。
しかし、着物クリーニングを利用したことがない方の場合、以下のような疑問があるのではないでしょうか。
着物は洋服のようにクリーニングに出していいの?
コートやスカートなど洋服をクリーニングに出す時に悩む方は少ないでしょう。
近所にあるクリーニング店に持ち込むだけでOKなので、迷いなく利用できますよね。
しかし着物の場合はどうでしょうか。
洋服のように近所のクリーニング店に持って行けば良いのか迷うところです。
せっかく苦労して持って行ったら断られてしまったり、着物の知識がなくて恥ずかしい思いをするのは避けたいですよね。
着物はどうやってクリーニング店に持って行けばいいの?
また、着物は取扱いにも気を遣ってしまいますよね。
シワになりやすく持ち運びが難しいということも、クリーニングが億劫になる要因です。
ただ紙袋に入れて持って行けば良いのか、どのような状態で持って行けば良いのかなどの疑問があると、大切な着物を持ち運ぶのが不安ですね。
このような疑問や不安があるから、着物クリーニングはハードルが高い感じがしてしまいますよね。
しかし、一度着た着物や汚れが気になる着物は、クリーニングに出さずにいると、シミが広がってしまったり、汗が黄ばみになってしまうなどの心配があります。
しっかり着物クリーニングの出し方を把握して、すぐにお店に持って行くようにしましょう。
次の章では、このような着物クリーニングに関する疑問をクリアにするための方法をお伝えしていきたいと思います。
着物クリーニングの出し方を解説!事前にやっておくべき5つのこと
「着物は洋服のようにクリーニングに出していいの?」という疑問がある方は多いと思います。
この答えは「NO」と言えますね。
着物は洋服クリーニングのように出すと失敗してしまうでしょう。
一般的なクリーニング店は着物を取り扱っていない場合があるからです。
まず着物を扱っているか確認すること、さらに事前に確認や予約が必要になることもあります。
また、クリーニングに出す前には、どのアイテムを出すか確認して、汚れなどをチェックすることも大事です。
このような「着物の出し方」について詳しくご説明していきたいと思います。
出し方①出すアイテムを決める
着物をクリーニングに出す時には、まず出すアイテムを決めることから始めましょう。
着物だけクリーニング店に持ち込んでから「やはり帯もクリーニングしたほうが良かったかも…」となってしまわないように、予め出すべきアイテムを確認しておきたいですね。
着物をクリーニングに出す際には、以下のアイテムを持ち込むべきか考えましょう。
長襦袢
長襦袢は着物の下に着るもので汗がつきやすいため、着物と同じようにクリーニングに出す必要があるでしょう。
正絹の素材の場合は、着物と同じくらいの費用がかかる場合もありますので、予め素材を確認しておくと安心ですね。
肌襦袢、足袋
肌襦袢や足袋などは「下着」ですので、着た後は必ず洗う必要があります。
刺繍などがあるものはクリーニングに出した方が安心ですが、基本的に自宅で洗えるものが多いです。
「手間がかかるからクリーニングに出した方がいい」という方は、もちろん着物と一緒にクリーニングに持ち込んでも良いでしょう。
帯
帯は正絹のものであればクリーニングが必要になります。
ただし、きれいな状態であれば着物と同じ頻度でクリーニングに出す必要はないでしょう。
食べ物や飲み物をこぼしてしまった時などは、取れにくいシミになる前に早めに出すことをおすすめします。
使用頻度や予算に応じて、このようなアイテムを出すかどうか決めましょう。
ちなみに、着物クリーニングの基本の「丸洗い」の相場は以下のようになっていますのでご参考ください。
着物類 | 丸洗い料金目安 |
振袖 | 7,000~13,000円 |
留袖 | 7,000~13,000円 |
訪問着 | 6,000~10,000円 |
羽織 | 3,000~6,000円 |
長襦袢 | 2,000~4,500円 |
名古屋帯 | 2,000~5,500円 |
長襦袢や帯はお店によっては安く設定されていることもありますので、その場合は一緒に出したほうが便利かもしれませんね。
また、「着物+襦袢+帯」などがセットになったお得メニューがあるお店もありますよ。
着物クリーニングの相場については、こちらの記事「着物クリーニングの料金相場はいくらか?かかる代金について解説」でご紹介していますので、ぜひご参考ください。
また使用頻度に対する着物をクリーニングに出すタイミングについては、こちらの記事「着物クリーニングの頻度は毎回?タイミング目安を解説」が参考になるかと思います。
出し方②汚れをチェックしておく
クリーニングに出すアイテムが決まったら、次は汚れをチェックしておきましょう。
これは洋服をクリーニングに出す時にもしている方が多いかもしれませんね。
着物クリーニングの基本の洗い方は「丸洗い」というドライクリーニングになります。
丸洗いをしただけでは、お茶やコーヒーのようなシミは取れないため、そのようなシミは「しみ抜き」という特殊クリーニングが必要になります。
着物を取り扱っているクリーニング店の場合は、事前に検品してシミなどの汚れがないかチェックし、それに応じてしみ抜きを施してくれるのですが、自分で確認しておくと安心ですね。
クリーニング店に持ち込んだ時に「この部分はしみ抜きをしてください」とお願いできるようにしておくとスムーズです。
以下のような部分は汚れがつきやすいですのでチェックしておくと良いでしょう。
衿元
衿元はファンデーションがつきやすい部分なので要注意。
とても目立つ部分でもありますので、シミが残ったままだと着れなくなってしまうかもしれません。
小さなシミでも時間が経つと目立つシミになることもあるので、よくチェックしてくださいね。
袖口
袖口は汗がつきやすい部分なので注意が必要です。
汗は時間が経つと黄ばみになってしまので気を付けたいですね。
汗じみになっていない場合でも、汗をかいた時には「汗抜き」をしてもらうことも必要です。
「汗抜き」は水洗いをして汗をスッキリ取り除く洗浄方法になります。追加料金がかかりますが、クリーニング店で相談してみると良いでしょう。
裾
着物の裾は、泥がはねてしまうことが多く、とても汚れがつきやすい部分です。
特に雨の日は、ぽつぽつとした泥汚れがたくさんついていることもありますので、きれにしておく必要がありますね。
このような部分の他、着物全体をチェックしておき、「しみ抜き」や「汗抜き」が必要かどうか確認しておきましょう。
各クリーニング店のホームページには、「しみ抜き5,000~10,000円」のように追加料金も記載されていますのでチェックしてくださいね。
出し方③着物を取り扱っているクリーニング店を選ぶ
出すアイテムと、汚れの状態をチェックしたら、着物を持ち込むお店を選びましょう。
「いつも洋服を出している行きつけのクリーニング店があるから大丈夫」と思うかもしれませんね。
しかし、着物を出す場合には着物を取り扱っているクリーニング店である必要があります。
着物を扱っていないお店の場合は、洋服と同じようにドライクリーニングをされて生地が縮んでしまったり、絞りの部分にアイロンをかけてしまい潰れてしまう等のトラブルが起きる恐れがありますので注意してくださいね。
着物クリーニングに対応しているお店は大きく3つ「一般のクリーニング店」「呉服店」「着物専門クリーニング店」に分けることができます。
それぞれの特徴をご紹介しますので、参考してくださいね。
一般のクリーニング店
いつも洋服クリーニングで利用している一般のクリーニング店でも、着物の取扱いをしていれば利用することができます。
クリーニング店のホームページから取扱いアイテムを確認しましょう。
ただし、気軽に利用できる反面、着物を専門的に扱っているわけではないので、仕上がりにバラつきがあるという点にはご注意ください。
呉服店
着物販売と合わせてクリーニングなどのお手入れもしてくれる呉服店もあります。
直接呉服店がクリーニングをするのではなく、下請け工場などに依頼していることが一般的です。
そのため手数料が上乗せされて料金が高くなるという難点はありますが、呉服店が信頼しているクリーニング工場で洗ってもらえるので安心できるというメリットはありますね。
着物専門クリーニング店
着物を専門に扱っているクリーニング店なら、安心して利用することができるでしょう。
着物に関する知識だけでなく、着物クリーニングに対する専門知識と技術があるため、きれいに仕上がることが多いです。
ひどいシミなどにも対応してくれるので安心ですよ。
しかし、着物専門クリーニング店は全国的に店舗が少ないです。
店舗を持たず、宅配クリーニングという形で全国対応しているケースが多いので、そもそも店舗に持ち込みたいと思っても近くにお店がないかもしれません。
このように、「一般のクリーニング店」「呉服店」「着物専門クリーニング店」それぞれに特徴がありますので、どこに持ち込むのが良いか検討してくださいね。
こちらの記事「着物はどこでクリーニングしてもらうのがいい?」の記事では、さらに詳しく「一般のクリーニング店」「呉服店」「着物専門クリーニング店」の違いやメリットデメリットなどを比較解説しておりますので、ぜひご参考ください。
出し方④事前に着物の持ち込みOKか確認する
着物を持ち込むお店が決まったら、次に着物の持ち込みOKかどうかを確認しましょう。
特にチェーン店の場合は、全国版の公式サイトに着物OKと書いてあっても、店舗ごとに扱っていないこともあるので事前に確認しておくことをおすすめします。
店舗に持ち込んでから「当店では着物は扱っていません」と言われたらガッカリですよね。
必ず、持ち込む店舗のホームページから着物の取り扱いをしているか確認してくださいね。
わからない場合にはメールや電話で問合せをするのも良いでしょう。
出し方⑤来店予約が必要になることも
さらに最後のステップは、来店予約です。
「クリーニング店に持ち込むのに予約が必要なの?」と思う方もいるでしょう。
洋服をクリーニングに出す時には、予約は必要ないですよね。
しかし、着物を専門にクリーニングしているお店の場合は、着物専門のスタッフや診断士などがその場で検品を行うため、予約が必要になることがあります。
ホームページを確認すると「要予約」となっていることが意外と多いですので、その場合は予約してから来店しましょう。
せっかく苦労して行ったのに「予約制です」と言われてしまうと非常に残念ですので、気を付けてくださいね。
ここまで、着物クリーニングの出し方として、「①出すアイテムを決める」「②汚れをチェックしておく」「③着物を取り扱っているクリーニング店を選ぶ」「④事前に着物の持ち込みOKか確認する」というポイントをお伝えしてきました。
「洋服クリーニングの出し方と何が違うの?」という方も、着物クリーニングの出し方についてわかってきたと思います。
次の章では、さらに「着物はどうやってクリーニング店に持って行けばいいの?」という疑問についてお答えしていきたいと思います。
持ち込み方、持って行き方を解説!お店での確認事項もチェック
ここからは、着物をクリーニング店に持ち込む時のポイントをお伝えしてきたいと思います。
着物の持って行き方としておさえておきたいことは「①風呂敷に包んで持って行く」「②汚れないようにして持って行く」「③シミなどがあれば伝える」「④方仕上がり日を確認する」です。
詳しくご説明しましょう。
持ち込み方・持って行き方①風呂敷に包んで持って行く
着物をクリーニング店に持ち込む時に悩むのは、どうやって持っていくかということでしょう。
どうせ洗うから適当に持っていこうというのではなく、できればきれいにスマートに持って行きたいですよね。
そのためには風呂敷に包んで持って行くのがベターです。
きれいな着物を持ち運ぶ場合は着物バックやキャリーバックを利用することがありますが、クリーニングに出す時はそこまでは必要ないでしょう。
しかし、ただ丸めて袋に入れて持って行くのも美しくありません。
きれいに畳んで風呂敷で包んで持って行きましょう。
見た目に美しいだけでなく、着物が袋の中でズレてシワになることもないので、できるだけきれいな状態で持ち運ぶことができるメリットもあります。
風呂敷を水平にして持ち運ぶのが大変という場合は、風呂敷で包んでから紙袋などに入れてもOK。
風呂敷でしっかり包んで固定してあるので、袋に入れてもよれる心配がないですよ。
持ち込み方・持って行き方②汚れないようにして持って行く
また、着物をクリーニング店に持ち込む時には、汚れないようにして持って行くことも大事です。
正絹の着物は水がついてしまうと縮んでしまうため、雨や雪の日には注意が必要です。
食べ物や飲み物をこぼしてしまうなども汚れにも注意したいですね。
着物はちょっと濡れたり汚れたりしただけで致命的なシミになることがあります。
そのシミのせいでしみ抜きの追加料金を取られてしまうかもしれませんので、クリーニング店に持って行くときにも油断せずに持ち運びたいですね。
雨や雪の日は、風呂敷に包んだ後に、さらにビニール袋に入れておくと安心ですね。
持ち込み方・持って行き方③シミなどがあれば伝える
次に、クリーニング店に持って行った後のポイントをご説明したいと思います。
着物をクリーニング店に持ち込んだら、シミなどの汚れがあれば必ず伝えるようにしましょう。
上の章でお伝えしたように、着物を持ち込む前には、シミがないか隅々までチェックすることが大事です。
そして、そのシミの部分をお店のスタッフに伝えましょう。
お店側でも汚れがないか検品を行うことが一般的ですが、稀に見逃されてしまうこともありますので、自分の目でしっかり見て、しっかり伝えておくことが大事です。
その上で、しみ抜きなどの予算を具体的に聞いてお願いするかどうか判断しましょう。
お店によっては「この部分のシミは見えないからしみ抜きしなくても大丈夫」などの要望に合わせて対応してくれますので、シミの状態と予算を考えて決めると良いですね。
持ち込み方・持って行き方④方仕上がり日を確認する
最後にお伝えしておきたいポイントは、仕上がり日を確認することです。
洋服のクリーニングの場合、数日~1週間程度で仕上がることが多いでしょう。
そのつもりで「着物クリーニングも1週間くらいかな」と思い込むのは危険です。
着物クリーニングの場合は1ヶ月程度かかるのが一般的で、2ヶ月かかることもあります。特に他社工場に委託しているタイプのクリーニング店の場合は、仕上がりまでに時間がかかりますのでご注意ください。
そのまま保管するだけだからいつになっても大丈夫という場合は良いですが、次に着用する予定がある場合は、特にしっかり確認しておきましょう。
着物クリーニングは出し方は洋服とはちょっと違う。スムーズに持ち込む方法を知っておこう
今回は着物クリーニングの出し方、持ち込み方についてご説明してきました。
洋服の場合は買い物のついでに気軽にクリーニングに出すことができますが、着物の場合はちょっと違います。
出し方としておさせておきたいのは「①出すアイテムを決める」「②汚れをチェックしておく」「③着物を取り扱っているクリーニング店を選ぶ」「④事前に着物の持ち込みOKか確認する」というポイントです。
さらに、持ち込み方としては、「①風呂敷に包んで持って行く」「②汚れないようにして持って行く」「③シミなどがあれば伝える」「④方仕上がり日を確認する」というポイントを知っておくと良いでしょう。
このようなポイントを把握しておくと、初めての方でもスムーズに着物クリーニングを利用できるでしょう。
また実際に利用してみると、意外と簡単に感じると思いますので、あまり不安にならずに行ってみてくださいね。