着物クリーニング代金は洋服に比べて高いというイメージがあっても、実際どれくらいかかるのかわからない方は多いでしょう。
頻繁に着物クリーニングを利用しない方は、相場がわからないですよね。
そこで今回の記事では、着物クリーニング料金の相場について解説したいと思います。
着物クリーニングの費用を考える時には「丸洗い料金or洗い張り料金」「追加料金」「送料」の値段の相場を知る必要があります。
さらに、着物クリーニングの費用を見極めるために必要な「トータル費用で考える」「値段の高さで判断しない」「見積りを出す業者を選ぶ」というポイントもお伝えしていきましょう。
着物クリーニングの価格に関して詳しく把握することができると、割高なクリーニング業者を選んでしまうことがなくなります。
適正価格の着物クリーニングを見極められるようになるでしょう。
着物クリーニングの料金はいくら?どれくらいの費用がかかるかわかりにくい
一度着た着物はクリーニングに出してきれいに保管しておきたいですよね。
しかし、洋服とは違い頻繁にクリーニングに出すものではないので、どの業者に頼んだら良いか迷ってしまう方も多いはず。
特に迷うのが費用についてでしょう。着物クリーニングは業者によって値段のバラつきがあるので、一体どれくらいの価格が適正なのかわかりにくいですよね。
以下のような疑問がある方は多いのではないでしょうか。
着物クリーニングは洗い方によって値段が違う?
洋服クリーニングと違い、着物クリーニングの場合は、洗い方に迷う方が多いと思います。
洗い方によってクリーニング料金は大きく変わるのですが、そもそもどの洗い方にすれば良いのか、それぞれの値段の相場はどれくらいかがわからないと、正しく選ぶことができません。
しっかりきれいに洗って欲しい反面、料金が割高になってしまうのも困りますよね。
着物クリーニングは追加料金がかかる?
着物クリーニングに迷う原因は追加料金がかかるからです。
洋服クリーニングと比べて、着物クリーニングは、「汗抜き」「しみ抜き」などの追加料金がかかるケースが多いです。
基本のクリーニング料金は安かったのに、結局追加料金が大幅にかかってしまうことも少なくありません。
汗抜きなどのオプションが込みになってるクリーニング業者のほうが結果的に安いケースもあります。
この追加料金の種類や相場も把握しておきたいですね。
着物クリーニングの送料はいくら?
最近は宅配クリーニングが便利ですが、その場合は送料についてチェックしておく必要があります。
しかし、着物クリーニングのホームページを見ても、送料について明記されていないケースもあり、トータル費用がわかりにくいことが多々あります。
クリーニング料金が安いと思っても、往復の送料がかかると予想以上の金額になってしまうことがあるので注意が必要です。
着物クリーニングを利用する際には、送料についてもきちんと確認しておきたいですね。
このような「洗い方」「追加料金」「送料」などの情報が曖昧だと、着物クリーニングを利用したいと思っても躊躇してしまうでしょう。
結局着物をクリーニングに出さないままに保管していて、汚れがひどくなっていた…なんてことになるかもしれません。
そこで次の章では、着物クリーニングの料金に関するモヤモヤを解消するために、「洗い方」「追加料金」「送料」に関する相場をわかりやすくご説明したいと思います。
着物クリーニング料金の相場とは?丸洗いの代金・追加料金・送料の金額について解説
着物クリーニングは価格の仕組みがわかりにくく、さらに料金も高いものなので、利用するのが億劫になってしまいますよね。
そのわかりにくさの原因は「洗い方ごとの相場」「追加料金の相場」「送料の相場」が把握できていないからでしょう。
ここからは、この3つの値段の一般的な金額についてご紹介したいと思います。
人気の着物クリーニング業者を10社以上リサーチした結果ですので、より平均的な金額になっています。
しかしながら、もっと高級志向な業者や激安の業者もありますので、あくまでも一般的な目安として見ていただければと思います。
着物クリーニングの「丸洗い」「洗い張り」の値段を解説
洋服の場合は基本的にドライクリーニングなので、洗い方に迷うことは少ないでしょう。
しかし、着物クリーニングの場合は「丸洗い」「洗い張り」という洗い方があるため、どちらにすべきか迷ってしまいます。
この2つは洗い方が異なるだけでなく、料金が大幅に違うため注意が必要です。
まずは、2つの洗い方の違いを知ること、その上でクリーニング料金の相場を知ることが大切ですね。
洗い張りとは?昔ながらの洗浄方法
洗い張りとは、着物をほどき反物の状態にしてから水洗いし、張り直すという方法です。
着物を一枚の布の状態にほどいてから洗い、また元の状態に戻すということですね。
とても手間のかかる作業ではありますが、昔はこの洗浄方法が一般的でした。
現在も職人による手作業で行われています。
洗い張りのメリットは、着物を完全にほどいて1枚の布にした状態で洗うので、すみずみまで汚れを取ることができるということ。
また、コーヒーやお茶などの水性の汚れやシミ、カビによる汚れなど、丸洗いでは取れない汚れもきれいにできるところもメリットです。
ただし、「一度ほどく」という手間がかかるデメリットがあります。
さらに1枚ずつ手作業で行うため料金が高くなるのも大きなデメリットと言えますね。
また、洗い張りは1枚の布「反物」の状態で戻ってくることになります。
着物の状態に戻すためには、再度「仕立て料金」がかかることも覚えておきましょう。
洗い張りのクリーニング方法については、こちらの記事「着物クリーニングの洗い張りについて」でも詳しくお伝えいたしますので、ぜひご覧ください。
このような洗い張りよりもっと気軽に着物を洗うために考案されたのが、次にご紹介する「丸洗い」クリーニングです。
丸洗いとは?気軽なお手入れ方法として考案された洗浄方法
丸洗いとは、名前の通り、着物をほどかずに丸のまま洗う方法です。
昭和以降はこの洗い方が主流となっています。
一枚ずつ丁寧に洗う場合と、一般の洋服クリーニングのようにドラム式の洗濯機で洗う場合があります。
メリットは、洗い張りよりも手間がかからない分、費用が安いこと。
油脂汚れに強い石油系の洗剤を使うため、油脂による汚れが取れやすいメリットもあります。
ついたばかりの皮脂汚れやファンデーションや口紅の汚れなどはとてもきれいになりますよ。
デメリットは、前述したような水性汚れやカビなど、取れない汚れもあることです。また、傷んだ状態の着物は丸洗いできないケースもあります。
洗い張りと丸洗いに違いについておわかりいただけたでしょうか。
念入りにお手入れしたい、特殊な汚れがついてしまったという場合は洗い張りが良いでしょう。
しかし、一度着物を着た後、次に着るまできれいに保管しておきたいという場合は、丸洗いで十分と言えます。
まずは丸洗いクリーニングを選び、状態に応じて洗い張りを検討するという流れが良いでしょう。
このような着物クリーニングの洗い方については、こちらの記事「着物クリーニングの全般的な洗い方について解説」も参考になるかと思いますので、ぜひチェックしてくださいね。
丸洗いと洗い張りの相場
それでは、気になる相場について見ていきたいと思います。
着物類 | 丸洗い料金目安 | 洗い張り料金目安 |
振袖 | 7,000~13,000円 | 16,000~20,000円 |
留袖 | 7,000~13,000円 | 18,000~20,000円 |
訪問着 | 6,000~10,000円 | 14,000~20,000円 |
羽織 | 3,000~6,000円 | 12,000~15,000円 |
長襦袢 | 2,000~4,500円 | 8,000~10,000円 |
名古屋帯 | 2,000~5,500円 | 5,000~7,000円 |
着物の種類によって金額が異なることがわかりますね。
クリーニングできる着物の種類については、ここでお話すると長くなってしまいますので、こちらの記事「着物クリーニングできる種類について徹底解説」で詳しくご説明したいと思います。
ここでは洗い方の違いによる金額相場を見ていきましょう。
丸洗い料金よりも、洗い張り料金のほうが大幅に金額が高いことがわかります。
洗い張りの場合は、再度仕立てが必要になる場合は、仕立て料金がかかることになるのでさらに高くなるでしょう。
例えば振袖の場合の仕立て料金は35,000円~70,000円ほどが相場になります。
前述したように、通常の場合は丸洗い、特別しっかり洗いたい時には洗い張りと、使い分けが必要ですね。
また、丸洗い料金のほうは、金額の幅が広くなっています。
これは、ポリエステル等の化学繊維の着物は料金が安く、正絹の着物は高くなる傾向にあるためです。
ポリエステルの着物クリーニング料金ついては、こちらの記事「ポリエステルの着物クリーニングの料金について」で詳しく解説しております。
ポリエステルの着物をお持ちの方はぜひご覧ください。
また、刺繡、金箔、絞りなどの特殊な加工が施されている着物は、上表の相場よりも高くなる場合もあるのでご注意ください。
絞り加工の特殊な着物のクリーニングについては、こちらの記事「絞り加工の着物のクリーニング方法」で詳しく解説しておりますので、気になる方はぜひチェックしてくださいね。
また、刺繡や金箔などの特殊な加工が施されている着物は、上表の相場よりも高くなる場合もあるのでご注意ください。
反対に、上表の金額よりも激安で提供しているクリーニングも一部あります。
格安の着物クリーニングに関しては、こちらの記事「着物クリーニングの格安業者をご紹介」で詳しくお伝えしたいと思いますでご覧ください。
着物クリーニングの追加料金の費用を解説
着物の洗い方の違いによる料金相場についてご説明してきました。
基本的には「丸洗い」の料金を参考に予算を考えると良いでしょう。
しかしながら、着物クリーニングでは様々な追加料金がかかるケースが少なくありません。
これにより料金がぐんと高くなる場合もあるので、事前にチェックしておくことが大事です。
追加料金がかかるのは、特殊な汚れ落としの作業を要する「しみ抜き」、汗汚れを除去する「汗抜き」、汚れにくくする「撥水加工」の作業を要する場合です。
また、長期保管を依頼するために追加料金がかかるケースのありますのでご紹介しましょう。
オプション | 料金目安 |
しみ抜き | 1,000~7,000円 |
汗抜き | 4,000~5,000円 |
撥水加工 | 3,000~7,000円 |
保管サービス(1年) | 0~6,000円 |
この4つの追加料金が代表的なものになり、相場はこのようになっています。
1つずつご説明しましょう。
「しみ抜き」のクリーニング費用
追加料金として一番かかりやすい料金は、しみ抜きでしょう。
前述したように丸洗いだけではきれいにならない汚れが多々あります。
コーヒー、お茶、ジュース、ボールペン、泥汚れ、汗によるシミなどはしみ抜きが必要です。
その場合は職人がその汚れをピンポイントでしみ抜き作業をするため、別途しみ抜き価格がかかります。
また上表のように、しみ抜きクリーニングの価格に幅があるのは、汚れのできた時期と大きさが関係しています。
すぐにできたシミであれば比較的安い料金になりますが、数年前についたシミで変色している場合は、高い技術が必要になるため料金も高くなります。
また、もちろん小さなシミであれば安く、大きくなれば高くなるでしょう。
古いシミで、さらに高範囲に及んでいる場合は、1万円以上かかるケースもあります。
「汗抜き」のクリーニング費用
次にご紹介する追加料金は、汗抜きにかかる費用です。
汗抜きとは、着物にしみ込んだ汗を取り除く作業です。
着物の下には襦袢(肌着)を着ていますが、襟の部分など汗がつきやすいので、汗抜きは必要にオプションの1つと言えます。
汗が残ったまま保管しておくと、次に着る時に変色してしまい、高額なしみ取り費用がかかるケースも少なくありません。
汗抜きはしみ抜きに比べると、金額がわかりやすいので利用しやすいでしょう。
また、着物クリーニング業者によっては通常の丸洗い料金に汗抜きも入っていることもあります。
汗が気になる場合は、そのような業者が良いですね。
「撥水加工」のクリーニング費用
撥水加工は、着物を汚れにくい状態にするために効果的なものになります。
撥水加工をしておくことで、水や泥、お茶やジューズなどで汚れてしまった時でも、汚れが落としやすくなります。
着る頻度が低い着物の場合は無理につける必要はありませんが、頻繁に着る着物や汚しやすいシーンで着る着物などの場合はつけておくと安心です。
もしシミがついてしまった場合でも、しみ抜き費用を安くおさえることができるでしょう。
「保管サービス」の費用
着物クリーニング業者の多くは、次回着用時まで保管してくれるサービスを行っています。
デリケートな生地の着物は自宅で保管するのが難しいですよね。
頻繁に着るものではないので、久ぶり着ようと思ったら変色していた、カビが生えていたといったトラブルは多々あります。
保管サービスは着物を保管する最適な環境で預かってくれるのでそのような心配がありません。
また、洋服とは違い、着物は和箪笥がないときれいに保管できないですよね。
保管する場所がないから保管サービスに預けたいという方もいるでしょう。
着物の保管サービスは、上表のように無料の場合もあります。
丸洗い料金に保管費用も含まれている場合もありますので、保管を希望する方はそのようなお得な業者を探すと良いでしょう。
着物の保管サービスについては、こちらに記事「着物クリーニングの保管サービスとは」でもお伝えしていますので、ぜひ合わせてご覧ください。
着物クリーニングの送料について解説
最後にお伝えする費用は、送料についてです。
宅配クリーニングは便利なサービスですが、どうしても送料が発生してしまいます。
着物クリーニング業者の場合、この送料の費用にもバラつきがあるため、注意が必要です。
大きく分けると、着物クリーニングの送料は以下の6つのパターンがあります。
- 往復送料をお客様が負担する
- 往復送料をお店が負担する
- 往路はお客様負担、復路はお店負担
- 往路はお店負担、復路は客様負担
- 〇円以上の利用で送料が無料になる
- 〇円以上の利用で送料が安くなる
このように、送料に関してはさまざまなパターンがあります。
発送する地域にもよりますが、着物を送る場合の送料は1,500円ほどが相場となります。
往復の送料をお客様負担の場合と、お店負担の場合では3,000円も金額が変わってきますね。
人気の着物クリーニングの場合は、⑤の〇円以上の利用で送料が無料になるケースが多いです。
利用する場合には、送料無料になる金額以上になるように考えてお願いすると良いでしょう。
ここまで、着物クリーニングの料金がわかりにくいという方に向けて、「丸洗いと洗い張りの相場」「追加料金の相場」「送料の相場」について解説してきました。
この3つのトータル費用を考えることで、賢く着物クリーニングを利用することができるでしょう。
具体的な費用がわかると、自分が利用する場合はどれくらいの金額になるか予想できるので安心ですね。
しかし、着物クリーニングを賢く利用するためには、相場だけでなく、さらによく確認するポイントがあります。
次の章でご紹介したいと思います。
着物クリーニングの費用の見極め方とは?トータル費用や見積りが大事
着物クリーニングの費用を十分に確認するためには、3つのポイントが大切です。
まずは、前述したように「トータル費用で考える」ことです。
さらに「値段の高さで判断しない」「見積を出す業者を選ぶ」ことも大切です。
詳しくお伝えしましょう。
トータル費用で考える
ここまでお伝えしてきたように、着物クリーニングは単純にクリーニング代金がかかるだけではなく、追加料金や送料がかかるケースが多いです。
クリーニング料金が高くても、「汗抜き」が含まれているかもしれません。
クリーニング料金が安くても、送料は別途かかるかもしれませんね。
トータルでいくらかかるのか判断するようにしましょう。
値段の高さで判断しない
また、着物クリーニングの特徴として「値段の高さで判断すべきではない」ということがあります。
高い料金の着物クリーニングを見ると「優れた作業をしてくれるレベルの高い店」と思うでしょう。
もちろん、質が良いために高い料金設定になっている業者もありますが、そうではない業者もあるのです。
着物専門のクリーニング店の場合は自社でクリーニングを行うため、そのような手数料はかかりません。
しかし、きもの販売店や洋服を主に扱うクリーニング店の場合、着物クリーニングは専門業者に委託するケースがあります。
別業者に委託しているため、手数料などがクリーニング料金に上乗せされることになるのです。
着物専門のクリーニング店以外の場合に極端に料金が高い場合は、このようなケースで有る可能性が高いのでご注意ください。
見積りを出してくれる業者を選ぶ
最後にご紹介するポイントは最も重要と言えます。
それは、見積りを出してくれる業者を選ぶということです。
ここまでお伝えしてきたように、着物クリーニングの料金はさまざまなケースがあります。
そのため、ある程度相場を理解した上で、見積り出してもらうのが賢い方法と言えるでしょう。
例えば極端にしみ抜き費用が高かった場合は、どうして高いのか確認してください。
「これくらいの大きさだから高い」「これくらい古いシミだけら高い」「なかなか取れない種類のシミだから高い」などとしっかり説明してもらえれば安心です。
「大体これくらいの費用がかかりますが良いですか」としっかり事前に確認してから作業に入ってくれる業者なら安心してお願いすることができますね。
反対に、見積りを出してもらえないと、不要な部分も全てしみ抜きされて高い料金を請求されてしまった…ということが起こるかもしれませんのでご注意ください。
着物クリーニング料金は相場を把握して見積りを確認することが大切
今回は、着物クリーニングの料金について解説してきました。
着物クリーニングの料金は「丸洗い・洗い張りの料金相場」「追加料金の相場」「送料の相場」を把握しておくことが大事です。
その上で、大体費用がいくらになるのか見積り金額を出してもらうとベストですね。
着物クリーニングの料金は複雑だからこそ、面倒に思わずにしっかり確認しておきましょう。
着物をきれいに仕上げてもらうことも大事ですが、同時に納得できる料金でお願いするようにしたいですね。