着物をクリーニングに出そうと思っても、デリケートな生地の着物をクリーニングに出して良いのか不安な方もいるでしょう。
特に総絞りのような特殊加工が施されている着物は「クリーニングに出して大丈夫？」「生地を傷めてしまうことはない？」など不安があるでしょう。
そこで今回の記事では、総絞りの着物に焦点をあてて「クリーニングできるのか」「しみ抜きはできるか」「どんな店に出せば良いか」を考えたいと思います。
総絞りの着物はクリーニングに出すことはできますが、しみ抜きに関しては対応しているお店が限られているので注意が必要です。
お店選びを間違えると、着物を傷めてしまう心配もありますので、よく考えてから決めることが大事です。
今回ご紹介する内容を見ていただくと、納得した上で総絞りの着物をクリーニングに出すことができるでしょう。
総絞りの着物はクリーニングが難しい
総絞りの着物は普通の着物とは違い「絞り」という技法で作られているため、表面が凸凹しています。
そのため、クリーニングに出しても良いものなのか、という疑問がありますよね。
また、シミができていたり、汚してしまった時は、特にお手入れに困ってしまうでしょう。
まずはこのような問題から考えていきたいと思います。
総絞りの着物はクリーニングしても大丈夫？
もともと着物はデリケートな素材なので扱いが難しいものです。
その中でも難しいのが、「絞り」というで凸凹した模様の着物でしょう。
総絞りの着物は、絞りの凸凹が全体に施されているため、クリーニングに出すのを躊躇してしまいますよね。
クリーニングに出して、その絞りが伸びてしまったら元に戻すことはできないでしょう。
総絞りの着物の汚れはクリーニングできれいになる？
また、総絞りの着物を汚してしまったり、黄ばみなどのシミがある時はさらに問題です。
ただクリーニングをするだけでも心配なのに、しみ抜きなどの特殊なクリーニングをしてもらうのはもっと心配ですよね。
シミの部分をゴシゴシ洗われて傷んでしまうのは困ります。さらに、特殊クリーニングは追加料金がかかるので費用面での心配もありますよね。
このように総絞りの着物はクリーニングが難しいため、シミや汚れがある場合はもう着れないと諦めているかもしれません。
もしくは、あまり汚れていない場合ははそのままクリーニングに出さずに保管している方も多いかもしれませんね。
しかし一度着た着物は、きれいに見えたとしても、ほこりや汗などがついているため、クリーニングしておかないと黄ばみやカビの原因になってしまいます。
そこで次の章では、総絞りの着物クリーニングに関する情報をお伝えしながら、納得してクリーニングできる方法をご説明したいと思います。
総絞りの着物はクリーニングが大変！その理由を知って正しくクリーニングをしよう
総絞りの着物は繊細なものなので、クリーニングに不安を感じる方は多いでしょう。
しかし、気を付けるべき点などをおさえておけば安心して利用することができます。
ここからは、総絞りの着物は「クリーニングできるのか」「しみ抜きはできるか」「どんな店に出せば良いか」ということを考えていきたいと思います。
しかしその前に、総絞りの着物について少しご説明しておきますね。
これがわからないと、クリーニングに関する情報をお伝えしてもわかりにくいかもしれませんので、簡単にご説明しておきましょう。
総絞りの着物とは、着物の表面すべてに「絞り染め」が施されている着物のことです。
それでは、この「絞り染め」とはどのようなものなのでしょうか。
この染めの技術は、奈良時代の頃から行われてきた日本最古の技術とされています。
その染め方を簡単にご説明しましょう。
まず着物の生地を糸で括り、その状態で着物全体を染めます。
染めた後に糸を解くと、糸が括られたいた部分だけ色が入らないことで模様を付くという技法です。
凸凹した独特の風合いの仕上がりは、古来から日本人に愛されてきました。
ただし、この作業はほとんどが手作業で行われるため、非常に時間がかかります。
総絞りの着物には、このような絞りがなんと約20個以上も必要になるため、膨大な時間をかけて作ることになるのです。
そのため、総絞りの着物は高額になることもあり、丁寧にお手入れする必要があります。
しかし、この「絞り」はとてもデリケートであるという問題があります。
適当な洗いをしてしまうと、せっかくの凸凹が伸びてしまう心配があるのです。
さらに、色落ちしやすい場合も多いので、さらに取扱いには注意が必要になります。
総絞りの着物はクリーニングできるのか？ドライクリーニングならできる
総絞りの着物についての基本情報をお伝えしたところで、本題に戻りたいと思います。
まずは、総絞りの着物はクリーニングできるのかご説明しましょう。
総絞りの着物はデリケートな素材ではありますが、クリーニングすることができます。
しかしクリーニングできるのは「丸洗い」というドライクリーニングに限られます。
「丸洗い」は総絞りの着物でもクリーニングできる
着物クリーニングの洗い方は「丸洗い」と「洗い張り」の2つがあります。
丸洗いは、洋服のドライクリーニングにあたるもので、一般的な着物クリーニング専門店では丸洗いを行っています。
洋服の場合も自宅で水洗いできないようなコートは、クリーニング店でドライクリーニングをしてもらいますよね。
ドライクリーニングならデリケートなワンピースなどでもきれいな状態で戻ってきます。
総絞りの着物も、丸洗いならきれいな状態で戻ってくるでしょう。
以下のような種類は総絞りでもドライクリーニングできることが多いです。
- 振袖
- 訪問着
- 小紋
- 浴衣
- 兵児帯
このような着物の「総絞り」の物が取扱いアイテムに含まれている着物クリーニング専門店であれば、クリーニングしてもらうことができます。
「振袖 総絞り」「兵児帯（絞りあり）」などと表記されていますので、チェックしてくださいね。
「洗い張り」は総絞りの着物は難しい
着物クリーニングのもう1つの方法は「洗い張り」です。
これは、着物を一度ほどき1枚の状態にしてから丸ごと水洗いする方法です。
すみずみまで洗うことができ、ドライクリーニングでは取れないような水溶性の汚れもスッキリ取れるメリットがあります。
着物全体をしっかり洗いたい場合は、丸洗いではなく洗い張りを依頼することになります。
ただし、一度ほどく作業が必要になるため、手間と時間がかかる分、料金は高くなります。
熟練の技が必要になるため、対応していないクリーニング店も多いです。
さらに、総絞りの着物の場合は、全体的に水洗いをしてしまうと凸凹が伸びてしまったり、色が落ちてしまう恐れがあります。
そのため、基本的には「総絞りの着物の洗い張りは対応していません」というクリーニング店が多いのが現状です。
このように、総絞りの着物は、基本的な着物クリーニングである「丸洗い」はできますが、入念に洗う「洗い張り」は不可というのが一般的です。
洗い張りはできませんが、丸洗いできれば十分という方は問題ないですね。
総絞りの着物はしみ抜きはできるか？対応できるお店は限られる
一度着た着物はきれいにしてからタンスにしまおうという場合は、総絞りの丸洗いを行っている着物クリーニング店に出せば良いですね。
しかし問題は、総絞りの着物に汚れがついている場合です。
注意して着ていても、食べ物やファンデーションなどの化粧品汚れなどがついてしまうことはあるでしょう。
また、久しぶりにタンスから出してみたら黄ばみなどのシミがついていた…ということも少なくありません。
そのような汚れは、ドライクリーニングの丸洗いでは取れないため、「しみ抜き」の作業が必要になります。
着物クリーニング専門店では、丸洗いでは取れない汚れは「しみ抜き」という追加作業を施すことできれいに仕上げていきます。
しかし、絞りのある着物は、このしみ取りが困難になることが多いため、対応できるお店は限られてしまうでしょう。
総絞りの着物のしみ取りが難しい理由は大きく2つありますのでご説明しますね。
凸凹がのびてしまうから
1つ目の理由は総絞りの着物にしみ取りを施すと凸凹がのびてしまう心配があるからです。
絞りの最大の特徴とも言えるのが、凸凹の独特な風合いにあります。
しかし、しみ抜きを行う時には、水と熱を与える必要があるため、その凸凹が伸びてしまったり、縮んでしまう恐れがあるのです。
シワがある服でも、洗濯機で洗いアイロンをかけると伸びるのと同じようなことですね。
せっかくの凸凹が失われてしまうと、総絞りの魅力が半減するだけでなく、絞りがある部分とない部分があるアンバランスな着物になってしまうでしょう。
色が落ちやすいから
2つ目の理由は、総絞りの着物は色が落ちやすいということです。
絞り染めの特徴として、染めの強度が弱いことにあります。
そのため、しみ抜きをすることで、色が落ちてしまったり、滲んだようになってしまうことがあるのです。
薄い色の場合は気にならないこともありますが、濃い色の場合は滲んだ状態が顕著に現れてしまうでしょう。
シミが取れたとしても、その周りが滲んだ状態になったり、色が薄くなってしまったら困りますよね。
このような理由から、総絞りの着物はしみ抜きが難しいと言えます。
着物を専門に扱っているクリーニング店であっても、傷めてしまうことや、きれいに汚れが取れないことを懸念してお断りしているケースが多いです。
しかし、一部の着物クリーニング店では総絞りのしみ抜きに対応しています。
そのようなお店を選んで依頼するようにしましょう。
総絞りの着物はどんな店に出せば良いか？3つのポイントをチェック
総絞りの着物のしみ抜きに対応しているお店は少ないのが現状です。
それでは、そのようなお店はどうやって見極めれば良いのでしょうか。
ポイントは「実績がある」「絞りの着物に対応しているお店」「しみ抜きに自信があるお店」ということです。
しみ抜きが必要になる汚れがない場合でも、総絞りの着物クリーニングは、このようなお店に託すと良いでしょう。
1つずつ詳しくご説明しますね。
①実績のあるお店
総絞りの着物は扱いが難しいことをお伝えしてきました。
そのため、経験が浅いクリーニング店の場合は的確な対応ができないかもしれませんね。
絞りのある帯を出したところ、アイロンをかけられて絞りが取れて戻ってきた…などの事例もあります。
そのため、「〇年以上の実績」「年間〇枚以上の実績」などの実績を確認し、あまり実績のないお店は避けたほうが良いでしょう。
②絞りの着物に対応しているお店
また、絞りの着物を扱っているお店であることも大事です。
一口に着物クリーニング店と言っても、扱える着物には違いがあります。
絞りや刺繍などが施されているような難易度の高い着物には対応していないお店もあるでしょう。
そのようなお店の場合、たとえ依頼を受けてもらえたとしても、きれいな仕上がりにならない可能性があります。
料金表を見て、「振袖 絞り」「浴衣 絞り」などのプランがあると安心ですね。
③しみ抜きに自信があるお店
さらに、しみ抜きに自信があるお店であることもポイントです。
お伝えしてきたように、絞りの着物は普通の丸洗いはできても、しみ抜きをするためには高い技術が必要になります。
しみ抜きに自信があるお店は、総絞りの着物だけでなく、デリケートな生地の着物でもきれいなしみ抜きを施してくれるでしょう。
お店のホームページには、実際に行ったしみ抜きのビフォーアフターの写真などが載っていることが多いです。
そのような事例や口コミなどを参考にして、難しいしみ抜きにも対応しているのかチェックしておきましょう。
総絞りの着物クリーニングにおすすめの着物クリーニング専門店2社をご紹介
ここまで、総絞りの着物に関して「クリーニングはできるか」「しみ抜きはできるか」について解説してきました。
総絞りの着物は、ドライクリーニングの「丸洗い」は可能です。さらにしみ抜きも可能はありますが、全てのお店が対応しているわけではありません。
総絞りの着物をクリーニングに出す時には、「実績のある店」「絞り着物に対応している店」「しみ抜きに自信がある店」を選ぶことが大事です。
しかし、着物クリーニングを検索してみるとたくさんお店が出てくるでしょう。
1つずつ内容をチェックするのはちょっと大変ですよね。
そこで最後に、当サイトが総絞りの着物クリーニングに向いている2社をご紹介したいと思います。
実績があり、絞りの着物に対応していて、さらにしみ抜きに定評があるお店ですので、
クリーニング店探しの参考にしてくださいね。
No.1：各種絞りの着物クリーニングに対応している！「着物わ蔵」
(画像出典：きものtotonoe)
| 実績 | 年間14,000点以上 |
| 丸洗いクリーニング料金(税込) | 色留袖8,800円、留袖8,800円、（袷）着物7,700円、振袖8,800円、（袷）羽織り6,600円、袋帯6,600円など |
| 絞り着物の丸洗いクリーニング料金(税込) | （袷）着物 絞り9,350円、振袖 絞り9,900円、兵児帯（絞りあり）4,950円 |
| しみ抜き(税込) | 軽度のシミ4,400円～、変色したシミ11,000円～ |
| 送料(税込) | 往路はお店負担、復路はお客様負担※1万円以上で送料無料 |
| 総絞り着物クリーニングおすすめポイント | ・独自技術によって頑固なシミも新品同様な仕上がりに ・国家資格でもある「染色補正技能士」が担当している ・絞りの各種着物クリーニングを行っている |
| 気になる点 | 料金が高め |
丁寧なクリーニングやお手入れに定評のある「着物わ蔵」は、年間14,000点以上の実績がある人気の着物クリーニング専門店です。
丸洗いの料金の中に、他店ではオプション料金となっている「汗抜き」「保管サービス」も含まれているため、とてもコスパが良いお店でもあります。
絞りの着物クリーニングにおすすめなポイント
着物わ蔵は年間1万点以上の着物クリーニングを行っているのですが、その中には高度なお手入れが必要になる難易度が高い着物が多く含まれていることが特徴です。
独自技術を駆使することで、難しいシミにもアプローチしています。
実際に、他店では取れなかったシミがきれいになった事例や諦めていた汚れが新品のように綺麗になるなどの事例が多く、しみ抜きに自信のある専門店であることが伺えます。
難易度が高い絞りのしみ抜きにも対応してもらえるでしょう。
さらにおすすめポイントは、着物わ蔵のクリーニングは国家資格でもある「染色補正技能士」が担当しているところです。
豊富な知識と経験のある職人さんが対応しているので、絞りの凸凹が伸びてしまった…などの失敗はまずないでしょう。
上表のように、着物、振袖、兵児帯など絞りのある各種着物に対応しているので、安心して利用することができますね。
このように、実績があり、絞りの着物に対応していて、さらにしみ抜き技術にも期待できるお店なので、総絞りの着物クリーニングにおすすめです。
ただし、一つ気になる点は、料金が高いことです。
汗抜きや保管サービスも込みになっているため、丸洗いの料金はやや高めに設定されている感じがしますね。
総絞りの着物の場合はさらに追加料金がかかる可能性もありますので、しっかり検品をして見積りを出してもらいましょう。
着物わ蔵のもっと詳しい内容は、こちらの記事「着物わ蔵の着物クリーニングの口コミ評判とは」で詳しく解説いたしますので、是非ご覧ください。
もっと詳しいメリットデメリットをご紹介しています。
No.2：30年前の総絞りの振袖の汚れでにも対応！「きもの辻」
| 実績 | 15万着以上の実績がある |
| 丸洗いクリーニング料金(税込) | 訪問着9,900円、振袖13,200円、留袖13,200円、長襦袢5,500円、帯5,500円 |
| 絞り着物の丸洗いクリーニング料金(税込) | 絞り振袖13,200円、絞り浴衣7,700円など |
| しみ抜き(税込) | ついたばかりのシミ3,300円～、変色したシミ3.,850～5,500円 ※範囲が広い場合はもっとかかる |
| 送料(税込) | 5,500円以上で送料無料 |
| 総絞り着物クリーニングおすすめポイント | ・30年前の総絞りの着物のシミにも対応している ・頑固なシミ抜きを得意としている ・全額返金保証が付いている |
| 気になる点 | 料金が高め |
30年前の総絞りの着物のしみ抜きにも成功するほどの高い技術を持つ「きもの辻」。
150,000着以上を突破している実績も十分な着物クリーニング専門店です。
万が一満足できない場合は、10日以内であれば全額返金という保証サービスがついており、仕上がりの良さに自信があることが伺えます。
絞りの着物クリーニングにおすすめなポイント
きもの辻の魅力は、しみ抜きに非常に強いといことです。
30年前の総絞りの着物の汚れや、他店では落ちないと断られた着物でも、しっかり対応できる自信があります。
実際にホームページの実例を見ると、高い技術をもってしみ抜きを行っていることがわかります。
さらに、全額返金の保証サービスがついているため、万が一仕上がりに満足できない場合でも安心感がありますね。
総絞りの洗いはもちろん、しみ抜きにも期待できるお店なので、総絞りの着物や帯のクリーニングが必要になった場合には検討しておきたいお店です。
ただし、着物わ蔵と同じように、料金は高めに設定されていますね。
総絞りのような高額の着物クリーニングにも対応してるため、設備、人件費などのコストも嵩む傾向にあるのでしょう。
きもの辻の詳しい情報は、こちらの記事「着物クリーニング・着物辻の評判や口コミを解説」で解説しておりますので、ぜひ合わせてご覧ください。
総絞りの着物はクリーニングできる！ただしお店選びは慎重に
今回は着物の中でもクリーニングが難しいとされている「総絞り」について解説してきました。
絞りのある着物は、水や熱に弱く、普通のクリーニングだと伸びたり色落ちする心配があるのが特徴です。
「丸洗い」というドライクリーニングをすることはできますが、一般のクリーニング店ではなく着物専門のクリーニング店に依頼しましょう。
さらに、汚れやシミがある場合には、総絞りのしみ抜きにも対応できる高品質のお店を選ぶことが大事です。
実績やしみ抜き実例などを参考にしながら、信頼できるお店を選びたいですね。
総絞りの着物は価値が高いものですので、納得できるお店にクリーニングに出しましょう。