着物を着た後に気になるのが「クリーニングするべき?」ということではないでしょうか。
また、久しぶりに着物を着ようとした時「このまま着ても大丈夫?クリーニングするべき?」と迷いますよね。
着物のクリーニングは洋服のように安くはないので、よく考えてから出したいもの。
クリーニングの必要性がないなら、わざわざ高い費用をかけてクリーニングするのは控えたいですね。
そこで今回は、着物クリーニングの必要性について考えたいと思います。
着用前、着用後、汚れが気になる場合、気にならない場合など、さまざまな状況ごとに着物クリーニングが必要なのか考えます。
結論から申し上げますと、自宅で洗えるポリエステルの着物などの場合、または着用前で汚れが気にならない場合はクリーニングの必要はないでしょう。
しかしそれ以外の場合は必要と言えます。
着物クリーニングの必要性を把握して、無駄なく着物クリーニングを利用していきましょう。
着物はそもそもクリーニングするべき?
着物クリーニングは値段が高いため、「必要ないなら出さなくていいかな…」と思う方は多いでしょう。
そもそもクリーニングするべきなのか疑問を感じている方もいると思います。
以下のような疑問がある方は多いのではないでしょうか。
着物クリーニングの必要性がわからない
1度着ただけの着物はそれほど汚れてはいません。
きれいな状態の着物をわざわざクリーニングに出す必要はあるのでしょうか。
クリーニング料金が勿体ないのもありますが、無駄にクリーニングすると着物が傷んでしまう心配もありますよね。
着物クリーニングの必要性がわからないと、クリーニングするかしないかの判断に迷ってしまいます。
着物クリーニングは色々なケースがあるからわからない
「着物は必ずクリーニングに出すもの」と言われることがありますが、着物をクリーニングに出すシーンは色々あるため、どんなケースでもクリーニングに出すべきか疑問ですよね。
着用後に明らかに汚れがある場合はクリーニングに出す必要がありますが、着用前に少し汚れが気になる程度なら出さなくても良さそうですよね。
着物を出すシーンは色々あるため、さらに迷ってしまいます。
このような疑問があると、着物クリーニングを利用するかどうか判断ができずモヤモヤしてしまうでしょう。
次の章では、このような疑問を解消するために、着物クリーニングの必要性について当サイトの見解をご説明したいと思います。
着物クリーニングの必要性を解説!するかしないかの判断は状況に応じて考えよう
着物クリーニングについて「するべきか、しないべきか」迷っている方は多いでしょう。
必要ないのにクリーニングして、高い費用がかかったり、無駄に着物を傷めてしまうのは避けたいところです。
そこでここからは、着物クリーニングの「必要性がわからない」「色々なケースがあるからわからない」の疑問をクリアにするために、いくつかの状況ごとに着物クリーニングの必要性を解説したいと思います。
以下の7つのシーンに分けて考えましょう。
- 着用前:気になる汚れ・臭いがない
- 着用前:気になる汚れ・臭いがある
- 着用後:汚れ・臭い・汗じみがある
- 着用後:汚れ・臭い・汗じみがない
- 着用後:自分でしみ抜きができた
- 着用後:自分で洗濯できた
- 着用後:またすぐ着る予定がある
それぞれのクリーニングの必要性と、その理由について詳しく解説していきたいと思います。
着用前の着物クリーニングはするべき?2つの状況の必要性を解説
まずは、着物を着る前のシーンについて必要性を考えていきましょう。
久しぶりに着物をタンスから出してみると、「意外ときれいな状態だった」ということもあれば、「意外と汚れていた…」ということもありますよね。
そんな時、クリーニングはするべきなのか考えましょう。
気になる汚れ・臭いがない:クリーニングは必要ない
着用する前の着物を見て、気になる汚れがない場合は、クリーニングは必要ありません。
「少し汚れているからきれいにしたい」「ちょっとシワが気になるからきれいにしたい」という場合、クリーニングに出しても間違いではありません。
結婚式や成人式など大事なシーンで着る時は特に、完璧にきれいにしてから着たいですね。
しかし、そのような事情がない場合は、基本的にクリーニングは必要ないでしょう。
気になる汚れ・臭いがある:気になる場合はクリーニングが必要
久しぶりに着物を出してみると、前回はなかったシミがあったり、カビ臭くなっていることも少なくありません。
その場合は「気になるかどうか」で判断しましょう。
もしシミがある場所は帯で隠れる部分ならクリーニングは必要ないでしょう。
裾の部分にシミがあった場合でも「これくらいなら気にならないかな」と思えるならクリーニングに出す必要はないですね。
しかし、目立つ部分にシミがあったり、「見えない部分だけど気になる」という場合はクリーニングが必要だと言えます。
シミが気になった状態で着物を着ると「シミが目立ってないかしら…」とソワソワして着物を着ることになってしまうでしょう。
そのような心配がある場合は、潔くクリーニングに出してきれいにしてから着用したいですね。
また、臭いが気になる場合もクリーニングに出したほうが良いでしょう。汚れと同様に臭いを気にしながら着用するのは嫌ですよね。
臭いが気になる場合、布用の消臭芳香剤などでごまかそうという方もいると思いますが、避けたほうが良いでしょう。
消臭芳香剤は着物の生地に臭いが染み込んでしまうので、クリーニングしても取れなくなる場合があるので注意してくださいね。
このように、着物を着る前においては、汚れや臭いがないならクリーニングは必要ありません。
汚れや臭いがあった場合でも、気にならないならクリーニングに出さなくて良いでしょう。
着用前は基本的にあまり神経質にクリーニングに出す必要はありません。
次の章でお伝えしますが、着用後はほとんどの場合クリーニングが必要になるからです。
少し汚れがあった場合でも、着用後にしっかりお手入れすれば良いということですね。
ただし、着用前であっても、汚れや臭いが気になる場合はクリーニングに出してから気持ち良く着用してくださいね。
着用後の着物クリーニングはするべき?5つの状況の必要性を解説
次に、着物を着用した後のクリーニングの必要性について考えていきます。
着用前はそれほどクリーニングの必要性はありません。
ただし、着用後は基本的にクリーニングが必要になります。
クリーニングせずに保管すると状態が悪くなるからです。
それぞれのシーン別に詳しくご説明したいと思います。
汚れ・臭い・汗じみがある時:クリーニングが必要
まず、汚れ・臭い・汗じみがある時は、クリーニングが必要と言えます。
パッと見てこのような汚れがないと思っても入念にチェックすることが大事です。
例えば以下のような汚れがないか確認してくださいね。
- ファンデーション汚れ(衿)
- 汗じみ(脇、背中、胸)
- 泥はね(お尻部分)
- 雨じみ
- 食べ物や飲み物のシミ
- 血液
このような汚れがある時はクリーニングが必要です。
放置しておくと、その汚れが残ったままになるだけでなく、さらにひどい状態になる恐れがあるからです。
あまり汚れがひどくない場合、「クリーニング代がもったいないからそのままでも大丈夫かな」と思うかもしれません。
しかし、放置したことによりシミが濃くなってしまうと、普通のクリーニングでは汚れが取れず、追加で「しみ抜き」作業を行うことになり、高額なクリーニング代がかかるかもしれません。
小さなシミや汚れでも油断せずにクリーニングに出すことをおすすめします。
汚れ・臭い・汗じみがない:クリーニングが必要
次は、汚れ・臭い・汗じみがない場合を考えましょう。
クリーニングするべきか一番迷うのは、このように「着用後だけどきれいな状態」の時でしょう。
全く汚れがないきれいな状態なのにクリーニングに出すのは、何だか無駄な感じがしてしまいますよね。
しかし、きれいな状態でもクリーニングに出す必要があります。
その理由は2つあります。
1つ目は、汗が染み込んでいるからです。
「今日はあまり汗をかかなかったな」という場合でも、必ず着物のどこかに汗はついています。
そしてその汗がそのまま放置されると、黄ばみになったり、カビの発生につながってしまうのです。
洗濯したつもりなのに、下着などが黄ばんでしまう時はありませんが?それは落ち切らなかった汗や皮脂汚れが蓄積し、それが酸化して黄ばみになっているからです。
さらに、汗や皮脂はカビのエサにもなるため、カビの原因にもなってしまいます。
汗をかいていないと思っても、必ずクリーニングが必要でしょう。
2つ目は、ホコリやチリなどがついているからです。
目視できなくても、着物にはホコリやチリがついています。
このホコリやチリは衣類いつく虫の大好物です。ホコリやチリをそのままにして保管すると、害虫に発生原因となってしまうでしょう。
このような理由から、着用後の着物はたとえ汚れがなくてもクリーニングが必要です。
特に汗やホコリは目に見えないので見逃しがちですので、しっかりお手入れしたいですね。
自分でしみ抜きができた:クリーニングが必要
着物を汚してしまった場合、自分でしみ抜きをする方もいるでしょう。
ファンデーションなどの油汚れはベンジンなどを使い叩いて汚れを落とすことが可能です。
コーヒーやお茶などの液体汚れも中性洗剤できれいになることがあります。
最近は、ネットで検索すると様々なしみ抜き方法が出てくるでしょう。
そのため、「自分でしみ抜きすればクリーニング不要!」と思う方も多いようです。
ところが、このような自宅でできるしみ抜きは、あくまでも応急処置にすぎません。
例えば、表面の食べ物の成分が取れたとしても、生地の繊維の奥にはまだ残っているかもしれません。
そうすると、その食べ物の成分がカビやシミとなって現れる可能性があります。
プロのように完全にきれいにしみ抜きすることはできませんので、そのまま放置するのはちょっと心配ですね。
また、シミの部分だけきれいになっても、全体的な汗やホコリの汚れは残ったままですので、やはりクリーニングするべきと言えますね。
自分で洗濯できた:クリーニングは必要ない
続いてご紹介するのは、自分で洗濯できた場合です。
フォーマルな着物は正絹のものが多いですが、最近は気軽に着れるように洗える素材の着物も人気を集めています。
- ポリエステル
- 木綿
- 麻
- ウール
このような素材の着物で、かつ洗濯表示に「水洗いOK」などの表記があれば、自宅の洗濯機で洗うことができます。
おしゃれ着用の洗剤を使い、ネットに入れて洗濯機で洗いましょう。
手洗いが必要な場合は、洗濯機ではなく手洗いしてくださいね。
このようにして自分で洗濯できた場合は、クリーニングに出す必要はないでしょう。
ただし、自分で洗濯しても「シミがまだ残っている」「シワが気になるからきれいに仕上げてほしい」という場合は、クリーニングに出して再仕上げしてもらうのもアリですね。
またすぐ着る予定がある:クリーニングは必要ない
最後にご紹介するのは、またすぐに着る予定がある場合です。
結婚式などで着用する場合は、その後はもうしばらく着ないことが多いでしょう。
しかし、定期的に着物を着る方の場合は、また来週着る、来月着るという場合もあるでしょう。
その場合は、数回続けて着ても問題ありません。季節の変わり目に出すようにしましょう。
ただし、汚してしまったり、汗を大量にかいた時は、すぐまた後に着る予定があってもクリーニングに出すのが賢明ですね。
着物クリーニングの頻度については、ここでお話すると長くなってしまいますので、こちらの記事「着物クリーニングの頻度やタイミングの目安とは」で詳しく解説したいと思います。
着物クリーニングの必要性まとめ
ここまで着物クリーニングの必要性について考えてきました。
まとめると以下になります。
着用前後 | 状況別 | クリーニングの必要性 |
前 | 気になる汚れ・臭いがない | なし |
気になる汚れ・臭いがある | 気になる場合は必要あり | |
後 | 汚れ・臭い・汗じみがある | なし |
汚れ・臭い・汗じみがない | なし | |
自分でしみ抜きができた | なし | |
自分で洗濯できた | なし | |
すぐまた着る予定がある | なし |
このように、着用前であれば、それほどクリーニングの必要性は高くありません。
着用後にしっかり洗えってきれいに保管すれば問題ないからです。
着用後は、自宅で洗える着物のケースを除いては、クリーニングが必要と言えます。
ただし着用後であっても「またすぐ来週着る予定がある」などの場合はすぐに洗う必要はないでしょう。
また、着た後のクリーニングは「丸洗い」と「汗抜き」が必要になることも覚えておきましょう。
着物クリーニングの基本は「丸洗い」というドライクリーニングになりますが、これだけだと汗汚れは除去できません。
着用前にスッキリきれいにしたいという場合は、丸洗いだけで十分ですが、着用後の場合は「汗抜き」の追加クリーニングも依頼することをおすすめします。
着物クリーニングの丸洗い、汗抜き、しみ抜き等の洗いの種類については、こちらの記事「着物クリーニング方法を解説」が参考になるかと思いますので、ぜひご覧ください。
着物クリーニングは基本的にするべき。必要性を理解してしっかりクリーニングしよう
今回は、着物クリーニングはするべきか?という問題について考えてきました。
着物を着る前であれば基本的に必要はないでしょう。
しかし、着た後はクリーニングするべきと言えます。
自宅で洗えるタイプの着物の場合はクリーニングは不要です。
すぐにまた着る予定がある場合も出す必要はないでしょう。
しかし、それ以外のシーンではクリーニングが必要と言えますね。
クリーニングせずに保管していると、シミがカビの原因になってしまいます。
「着物クリーニングは高く大変…」という方は、安いネット型のクリーニングがおすすめですよ。
こちらの記事「安いネット型の着物クリーニングをご紹介」も参考にしてくださいね。
無理なく利用できるリーズンブルな着物クリーニング見つけて、しっかりお手入れしていきましょう。